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DRAWING / REFERENCE

溶接記号チートシートJIS Z 3021 対応

JIS Z 3021 の溶接記号を「図面でこう書いてあったら、こう溶接する」に絞って整理した即答用チートシート。矢の側/反対側のルールから寸法の読み方、逆引き表まで、現場で使う順に並べた。

最終更新 BeadX 運営事務局
この記事の目次
  1. まずこれだけ:溶接記号の骨格
  2. 基本記号一覧
  3. 寸法の読み方:どこに何が書いてあるか
  4. 補助記号と仕上げ記号
  5. 実際の図面での読み方例 3 つ
  6. 逆引き表:図面でこう書いてあったら、こう溶接する
  7. 現場でのつまずきポイント 3 つ
  8. 参考規格

図面を渡されて「この記号なんだっけ」となったら、このページに戻ってくればいい。JIS Z 3021(溶接記号)の要点を、現場で使う順に並べた即答用チートシートです。規格の全文解説ではなく「図面でこう書いてあったら、こう溶接する」に絞っています。

※ 本ページは JIS Z 3021:2016 の内容を要点だけ再構成したものです。正式な判断は規格票と各社の図面ルールを優先してください。

The Basicsまずこれだけ:溶接記号の骨格

溶接記号は「矢」と「基線」の 2 本でできています。斜めの矢が溶接する継手を指し、そこから水平に伸びる基線の上に基本記号と寸法が載る。基線の端に開いた V 字の「尾」が付くこともあります。

要素役割
矢溶接する継手(線)を指す斜め線
基線水平の実線。ここに基本記号と寸法を書く
尾(開いた V 字)特記事項の置き場。溶接方法、施工条件など。不要なら省略

矢の側/反対側のルール(最重要)

記号の位置溶接する側
基線の下に記号矢の側(矢が指している手前側)を溶接
基線の上に記号矢の反対側(向こう側)を溶接
基線の上下両方に記号両側を溶接

覚え方は 1 つだけ。「下=矢の側」。これを逆にすると裏表を溶接し間違えるので、迷ったら毎回ここに戻ってください。

もう 1 つ、レ形・J 形など片側だけ開先を取る継手では、矢を折れ線にして、開先を取る部材側を指すルールがあります(JIS Z 3021 4.6.3)。矢がカクッと折れていたら「折れた先の部材に開先加工」です。

Symbols基本記号一覧

記号はテキストで近い形を示します。正確な形状は規格票の図で確認してください。

開先溶接(突合せ系)

記号(近似)名称継手の形
‖I 形開先加工なし。板をそのまま突き合わせる
∨V 形両方の板に斜め開先。中厚板の定番
レ(片側斜め)レ形片方の板だけ開先。もう片方は垂直のまま
XX 形表裏から V 形。厚板で変形を抑えたいとき
KK 形表裏からレ形
UU 形底が丸い開先。極厚板用
JJ 形片側だけ U 形の半分
平行 2 本+UH 形表裏から U 形
フレア V/フレア レフレア形丸棒・曲げ板同士の合わせ目にできる開先

すみ肉・その他

記号(近似)名称用途
△(直角三角形。垂直辺が左)すみ肉溶接T 継手・重ね継手の定番。現場で一番使う
▭(長方形)プラグ溶接・スロット溶接上板の穴を溶接金属で埋めて下板と接合
○スポット溶接点で接合(抵抗溶接・アークスポット)
⊖(○+線)シーム溶接連続した線状の抵抗溶接
⌒ 並び肉盛溶接表面に金属を盛る。補修・耐摩耗
⌒(開先記号に添える)裏波溶接裏側まで溶かし込み、裏に整ったビードを出す

Dimensions寸法の読み方:どこに何が書いてあるか

基本記号のまわりの数字は、位置で意味が決まります。

位置記載内容記号例
基本記号の左断面寸法 S(すみ肉の脚長、開先深さなど)6、z6、16
基本記号の中(開先の間)ルート間隔2
基本記号の外側(上)開先角度60°
基本記号の右溶接長さ、断続のピッチ・個数50-150
尾特記事項(溶接方法、非破壊検査指示など)

すみ肉の脚長

  • 「6 △」なら脚長 6mm のすみ肉。JIS Z 3021:2016 では脚長 z で書く場合、数字だけで添字は不要
  • のど厚で指示したいときだけ「a5」のように a を付ける
  • 不等脚は小さい方を先に書く(例:6×9)。向きは図示で指示

開先深さと溶接深さ

  • 開先深さは基本記号の左に書く(例:16 ∨)
  • 溶接深さ(実際に溶け込ませたい深さ)を指示するときは括弧付きで左に書く
  • 数字なしの ∨ だけなら「完全溶込み前提」で読むのが一般的。ただし社内ルール差が大きいので、部分溶込みか完全溶込みかは必ず設計に確認

断続すみ肉のピッチ表記

  • 記号の右に「溶接長さ - ピッチ」の形で書く。例:「6 △ 50-150」=脚長 6mm、溶接長さ 50mm、ピッチ(中心間隔)150mm で断続
  • 個数を明示する場合は L(n)-P 形式(例:50(3)-150)
  • 千鳥断続は基線の上下に記号を互い違いにずらして配置。表と裏で溶接位置をずらして施工する
  • 旧規格年代の図面では別形式(L×n-P など)も残っています。古い図面は表記ルールごと確認するのが安全です

Supplementary補助記号と仕上げ記号

補助記号

記号(近似)名称意味
○(矢と基線の交点に付く円)全周溶接部材のまわりを一周ぐるっと溶接
▶(旗。基線から立つ)現場溶接工場ではなく現場(建方後)で溶接
⌒(記号の反対側に付く)裏波溶接裏側に整ったビードを出す。片側完全溶込みのサイン
▭(記号の反対側に付く)裏当て裏当て金を使う。残す/除去の区別は図面指示による
―(記号に接する直線)平ら仕上げ余盛を平らに
⌒(記号に接する凸線)凸仕上げ余盛を凸形に
⌣(記号に接する凹線)凹仕上げ表面を凹形に

仕上げ方法の記号

記号意味
Cチッピング仕上げ
Gグラインダ仕上げ
M切削(機械)仕上げ
P研磨仕上げ

旧年代の図面では「F」(仕上げ方法を指定しない仕上げ)が残っていることがあります。見かけたら要確認。

Examples実際の図面での読み方例 3 つ

例 1:T 継手のすみ肉

図面表記:矢が T 継手の立板の付け根を指し、基線の下に「6 △」、右に数字なし

読み:矢の側に、脚長 6mm の連続すみ肉溶接を部材全長に。基線の上に何もないので、裏側の溶接指示はなし。

例 2:突合せの V 形開先

図面表記:基線の下に ∨、V の中に「2」、外側に「60°」、左に数字なし。尾はなし

読み:矢の側から、開先角度 60°・ルート間隔 2mm の V 形開先で突合せ溶接。開先深さの指定がないので板厚全体に開先=完全溶込みとして読むのが通例。裏波や裏当ての記号がなければ、裏はつり(ガウジング)の要否を設計に確認する。

例 3:現場・全周のすみ肉

図面表記:矢と基線の交点に○と旗、基線の下に「6 △」

読み:現場溶接で、部材のまわり全周に脚長 6mm のすみ肉溶接。工場では溶接しない。建方後に一周回して溶接する。柱ベースやブラケット取り付けでよく出る組み合わせ。

Reverse Lookup逆引き表:図面でこう書いてあったら、こう溶接する

図面の表記やること
基線の下に 6 △矢の側に脚長 6mm の連続すみ肉
基線の上に 6 △矢の反対側(裏)に脚長 6mm のすみ肉
基線の上下に 6 △両側にすみ肉(両側 6mm)
6 △ 50-150脚長 6mm、溶接長さ 50mm をピッチ 150mm で断続すみ肉
上下に 50-150 が互い違い千鳥断続すみ肉。表裏で位置をずらす
∨(数字なし)+ 60°+中に 2V 開先 60°、ルート 2mm。完全溶込み前提で開先加工から
16(∨ の左)、板厚 25開先深さ 16mm の部分溶込み。全部は溶かさない
∨ + 裏波記号 ⌒片側から溶接して裏波を出す。裏はつりなしで裏まで健全に
∨ + 裏当て記号 ▭裏当て金を当てて片側から溶接
レ形+矢が折れ線折れた矢が指す部材だけ開先加工してから溶接
交点に ○その部材の全周を溶接
旗記号その溶接は現場でやる。工場では手を付けない
記号に G溶接後にグラインダ仕上げまでがこの指示の範囲
尾に文字(溶接方法など)特記事項。施工条件の指定なので飛ばさず読む

Pitfalls現場でのつまずきポイント 3 つ

1 つ目、上下の読み間違い。「下=矢の側」を体に入れる。裏表を間違えた溶接は直しが一番つらい。

2 つ目、完全溶込みか部分溶込みか。記号の左に数字がない開先記号は完全溶込みとして読むのが通例ですが、会社・年代でルールが揺れます。強度部材は必ず確認。

3 つ目、旧図面の表記。JIS Z 3021 は改正を重ねていて(現行 2016 年版)、古い図面には旧表記が混ざります。断続溶接のピッチ表記や仕上げ記号は特に要注意。

Standards参考規格

  • JIS Z 3021:2016 溶接記号
  • 関連:JIS Z 3001(溶接用語)

記号が読めたら、次は材料の選定です。姉妹ページの溶接棒・ワイヤ比較表へ。「図面を読む→棒を選ぶ」の順で使ってください。

FIELD QUESTION / 次は、あなたの判断。

図面の寸法を、現場ではどうつくる?

軟鋼の水平すみ肉。立板側がえぐれ、下板側に垂れて、脚長がそろわない。あなたなら、狙う位置をどう見直しますか?

図面を読む場面から、溶接中の判断へ。BeadX の「現場の 10 問」で、ほかの場面も考えてみませんか。

現場の 10 問で腕試しする出題内容は回によって変わります。資格試験の模擬問題ではありません。