溶接とものづくりのニュースを毎週ひとつ取り上げ、5 人の編集部が紙面の上で議論するジャーナル。毎週土曜に更新しています。
3 月、カーネギーメロン大学の研究チームが「WeldAR」の論文を公開した。溶接面の中にヘッドセットを組み込み、トーチに追跡装置を付けて、溶接している最中に、速度・角度・距離のずれを目の前に映す。溶接の訓練を受けたことがない 24 人で試すと、動画で学んだときより、速度と作業角の目標からのずれが小さかった。表示を外した直後のテストでも、著者はその差を報告している。 一方、現場で若手に教える側が一番困っていること。9 月 27 日の読者投票では、12 人中 7 人が「コツを言葉にできない」と答えた。言葉にできないものを、現場はどう渡しているのか。 今号は、論文から現場へ降りて、この 2 か月に「若手の育て方」を聞いた読者投票のうち回答のあった 18 回を振り返り、8 つの問いを取り上げた。
9 月 11 日、ファナックが「AI 溶接エージェント」を発表した。部品の図面を協働ロボットのタブレットのカメラで読み取り、電流や電圧などの溶接条件と、ロボットの動きを AI が自動で作る。同社の言葉は「ゼロ設定、ゼロ教示」。出荷開始は 12 月末の予定。 前号で歩いた展示会に、この機械も出ていた。溶接中の状態を見る技術と、溶接前の教示を減らす技術。それぞれ、人のどの仕事を担うのか。 条件出しと教示ができる熟練者が足りない。ファナックはそう書いている。では、教示の手間が減ったとき、人は何に時間を使うのか。今号は、そこを議論した。
国内メーカーのロボットは、溶けている所を自分の目で見て、速度を変え始めていた。人の勘所をどこまで扱えるのか。説明員に聞くと、できている所と、これからの所があった。 そして造船の現場では、人で埋めていた穴が為替で埋まらなくなった、と説明員は言った。今号は、編集部が会場を歩いて、見て、聞いたことの報告。 人型を待っているあいだに、4 本足が会場まで来た。Path Robotics は「2027 年に 50 台を出荷する」と案内している。日本への投入は、会場で聞いたかぎり未定だった。展示で見せられることと、現場で使われ続けること。その間を追っていきます。
うまくできた 1 本なのに、写真にすると伝わらない。そんなビードは、ありませんか。 SNS の投稿数で目立つのは TIG のうろこ模様。一方、資格者数や材料の量で見ると多いのは半自動だ。TIG のうろこに憧れて入ってきたハジメに、タツさんは「写真だけじゃ分からねえ仕事もある」と返す。 きれいだから見たくなるのか。自分にも覚えがあるから目が止まるのか。今号は、溶接の見せ方を編集部で考える。
2026 年 5 月 29 日、溶接学会は創立 100 年を迎えた。9 月 15 日と 16 日、東京で記念行事が開かれる。 100 年前、日本の溶接は「補修の道具」だった。棒は町工場で天日に干され、船の首は嵐の海で切れ、戦後には「米国に 30 年遅れている」と言われた。そこから 10 年で造船世界一になった。 年表で読むと発明の歴史に見える。でも編集部が 100 年を並べて気づいたのは、順番がいつも同じだ、ということだった。先に困った人がいて、技術は後から来る。同じ場所に戻ってくるのに、戻るたびに 1 段上がっている。いま現場で起きている変化は、その螺旋の何周目なのか。
8 月 26 日、川崎重工が坂出工場で溶接・塗装・検査のロボットを実証導入していると報じられた。船体構造の溶接ロボットは今年度中、パイプ溶接ロボットは来年度に入る。 見逃せないのは、その先に書かれた一行だ。造船だけでなく、建設やプラントにも売る。造船所が自分の現場で鍛えた溶接ロボットを、他社の現場へ売りに出す。 春には脚で歩く AI 溶接ロボットの国プロも始まった。日本の造船が選んだ道は、人型ではない。今号は、溶接ロボットが「売り物」になるとき何が変わるのかを掘る。
世界には、少なくとも 400 万人を超える溶接工がいる。 では、その中で一番うまいのは誰か。答えは「決める場所が無い」だ。溶接の世界一を名乗れる大会は、22 歳以下の若者にしか開かれていない。現場で 20 年腕を磨いた人には、世界と比べる場がそもそも無い。 腕が先、資格が後、と前号は書いた。今号はその先にある「腕を比べる場」の話をする。
2025 年 10 月、ハンドヘルドレーザー溶接の安全規格が日本で制定された。そこには「設置、操作、保守、修理は有資格者のみが行う」と書かれている。 ところが、その資格はどこにも見当たらない。国家資格も、法定教育も無い。民間の技能資格も、探しても出てこない。取りに行きたくても、取りに行く場所が無い。 資格が要ると決まったのに、資格が無い。この宙ぶらりんの正体を、今号は正面から掘る。
8 月 6 日、アメリカ最大の軍艦建造会社が、溶接や仕上げを自動化するロボット会社 2 社に、最大 9 億ドル分の仕事を出すと発表した。 同じ会社は今年、半年で 3,500 人の造船工を雇った。溶接工を育てる養成学校は、あと 1 クラスで満員になる。 機械と人を、同時に全力で集める。その理由を掘っていくと、「機械か、人か」という問いの前提が崩れた。
6kW のレーザーは、メーカー公称で炭素鋼を 10mm 以上溶かせる。ロボットに載せれば、溶け込みの深さを溶接しながらミクロン単位で測ることさえできる。 それでも現場は、今日も TIG のトーチを握っている。止めているのは技術ではなかった。
兵庫の町工場に、溶接工が 1 人もいない時期が 4 年続いた。その穴を埋めたのは、人型でも AI でもなく、画面をクリックする 40 代の未経験者だった。同じ月、オハイオでは 3 億ドル近くを集めた会社が「溶接の基盤モデル」を掲げている。両者が解いたものは、実は同じだった。
前号、人型ロボットの初溶接に沸いた 1 週間後。中国から「人型じゃない」溶接ロボットのニュースが届いた。しかもそちらは、とっくに量産現場で働いているという。では、なぜ世界は人型を作るのか。
人型ロボットが、初めて溶接した。そして作業のあと、隣の人間とグータッチをした。編集部が引っかかったのは、溶接の腕ではない。その「同僚っぽさ」の方だ。
前号で世界最大の造船会社が「人型ロボットで溶接まで担わせる」開発合意を扱った。読者と編集部に残った問いはひとつ。なぜ、船なのか。そして、あなたの現場は何番目なのか。
造船世界最大手が「溶接の自律実行」を発表した。怖がる話でも、笑い飛ばす話でもない。「基本的な溶接」という言葉の中身を、編集部で分解してみた。
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